T293 & T293Plus
WORLD CHAMPIONSHIPS
Congratulations!!
29 JULY - 5 AUGUST 2023
Quiberon, France
【世界選手権 レース レポート NT 主将 片山好人 】
2023年8月15日までフランス・キブロン島でウインドサーフィンテクノ 293 クラス世界選手権が開催されました。テクノプラス・オープンクラスにて優勝いたしました、2023年度 JUBF Natio n al Team 主将で滋賀大学4年の片山好人がレースレポートを書かせていただきます。
今大会は、ほとんど全レース10m/s 以上のオフショアのオーバーコンディションでレースが行われました。また、普段使用している 7.8 ㎡ではなく8.5 ㎡のセールに最初は慣れない部分もありました。しかし日頃の日本での強風域の練習や、様々なゲレンデで練習した経験を活かし、上りプレーニングや海面力などで海外トップ選手と戦うことが出来ました。そして、トップ 3 フィニッシュを 3 レース、シングルフィニッシュを 9 レースで行え、自身の技術が世界で通用することを証明できて嬉しく思います。
世界のトップ選手と競い合うことができた今回の経験は、自分一人では到底成し遂げられるものではなく、出場に関して多大なるご支援を頂きました、JWA・学連関係者の方々、スポンサーの皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。本当にありがとうございました。この貴重な経験を活かし、全国の学連選手に還元することと自身のスキルアップにも努めていきたいと思います。そして、今回の結果に驕ることなく、今年度目標である「インカレ個人戦優勝」に向けて今後とも精進してまいります。
【参加選手の総合成績 】
<テクノプラスクラスメンズ(オープン)>
1位 片山好人(日本・滋賀大学)
2位 Aurélien Gilles(フランス)
3位 Alejandro Arauz García(スペイン)
4位 小松大悟(日本・本田技研工業)
5位 大島俊也(日本・明治大学)
6位 森健太郎(日本・明治大学)
8位 江渕堅翔(日本・日本大学)
9位 鈴木颯乃介(日本・早稲田大学)
<テクノプラスレディース(オープン)>
1位 Marion Lextray (スペイン)
2位 Margaux Arnoux (フランス)
3位 Veronica Poledrini (イタリア)
4位 山下響(日本・関西学院大学)
5位 大島萌(日本・富士フィルム)
8位 岡朋加(日本・明治大学)
9位 廣瀬こころ(日本・玉川大学)
【2023 Techno 293 Plus World Championships 大会レポート】 2023/8/11
本年度の世界選手権フランス大会で随行コーチ役を務めさせて頂きました本田技研工業(株)の小松です。
7/30〜 8/5 にかけてフランスのキブロンで 2023 Techno 293 Plus World Championshipsが開催され、日本からは学連ナショナルチームメンバー(以下 NT)5 名とジャパンカップからの出場支援選手を含め合計10名が参戦しました。
日本の学連で普段使用しているTechno(7.8 ㎡ sail/46cm fin) は、世界標準では中学生用の道具であり、高校生を過ぎると一回り大きいTechno Plus(8.5 ㎡ sail/50cm fin) を使用するため、毎年日本代表選手が世界大会に参戦する際には、大会前入り期間中に普段と異なる道具にどこまで適応できるかがキーポイントになります。
例年感じるのが、日本選手団が前入り期間中の調整練習を個人ごとにバラバラに行っており効果的に行えていないという課題で、本年度はここを何とか一つ改善したいという想いがありました。自分がこれまで道具選定の自由度が高い国体級で経験してきた短時間でより良いチューニングを出すためのスキームを全員で協力して前半で行い、全員の道具のチューニングが出た状態でパンピング練習に移行、そして最後に地元フランスチームと海上でマークを使った合同練習で実戦的な走り合わせをすることで限られた時間の中で全員が最低限レースに臨める状態をシステマティックに作り出せたことは、例年までと比べて今年の日本チームの一つの成果だったと思います。
一方で今年の最大の試練は、前入り期間の中風コンディションに対してレース本番日程のほぼ全てがオーバー風域となったことで、学連 NT メンバーでさえも何度も流れてレスキューされていることからもその過酷さが窺い知れると思います。
学連から派遣の日本代表チームがコーチボートを出さないことは例年それほど大きな不都合にはなりませんが、今年の度重なる日本チームのレスキューに運営ボートのみならず他国コーチボートも多く出動にあたらせてしまったことは我々日本チームの体制の反省として来年には必ず改善しなければならない点だと強く感じました 。例えば数年前の日本代表ユースチームでやっていたように、海外チームとのコーチボートシェアなどの形であれば少ない予算で最低限のレスキュー体制だけでも整えられるのでは無いかと思っており、今年できた他国コーチとの新しいつながりを活かしながらアクションできないかと考えております。
レース内容としては、例年パンピングが必要な中風域までは日本人が世界大会で前を走る光景が多く見られますが今年はほぼ全てがオーバー風域ということで終始 U19クラスの海外勢に圧倒される展開となり、特に男子の先頭集団に至っては目視できないほどの距離を開けられるレースが目立ちました。しかし、そんな中でも NT キャプテンの片山君(滋賀)が 2 本の U19 を含む総合 3 位フィニッシュ、大島君(明治)が最終レースで総合 2 位フィニッシュを決めるなど先頭集団に食い込む走りを見せ、片山君は見事に OPEN クラスで優勝(Techno Plus 総合 6 位)して表彰式に君が代の歌を響かせてくれました。
滋賀大学HP 紹介
ウインドサーフィン部に所属の経済学部生がフランスでの世界選手権オープンクラスで優勝 滋賀大学 (shiga u.ac.jp)
※片山選手は近く滋賀大学の学長室に招かれ改めて、そこで今回のオープンクラス世界一達成をプレスリリースする運びになりました。
<世界選手権参加のすすめ>
学生時代に世界選手権に参加することは、競技に本気な選手ほど躊躇する人も多いかと思います。インカレとは異なる規格の道具への一時的な適応や、遠征費などの金銭面、一定期間日本から離れることによる期末テスト等の学業への影響からも、目先のインカレの順位を追う中で世界選手権に参加する意義というのを明確に見出すのが難しいことは、かつての自分がそうであったからよく理解できます。そんな自分も現役ナショナルチーム時代に疑問を持ちながらも何となく世界選手権に参加しましたが、振り返って見るとインカレの経験が霞んでみえるほど沢山の大きなものをそこで得たことに後から気が付き、その一部を共有できればと思いこの場を少しお借りいたします。
四年生になり国内レースの大半で優勝を積み重ねていた当時、世界の走りを目の当たりにしなければ全く気が付けなかった自分に残された伸び代の大きさを認識できたことはその後の熾烈なインカレ優勝争いの中で自分の大きな武器となり、また卒業後も F1 の設計の仕事において海外勢と企業を掛けた真剣勝負をする中で怯まずにきっちり立ち向かえているのは 分野は全く違えども生身で世界と 戦った経験から来る根拠の無い自信であり、 そして世界各国に散らばる公私問わず必要な時にお互いに頼れる世界選手権で繋がった友人達は自分の人生における何にも変え難い財産となりました。人によって得られるものは違うと思いますが 、 どれも人生において大きく貴重な財産になることは間違いなく、まだこの先チャンスがある人は是非全力でそれを取りに行ってみてください。
当初は全員不参加 を決めていた今年の NT 達。 世界一となったキャプテンを筆頭に、各々何か得たものはありましたでしょうか?学連から支援を受けてこの機会を得た分、しっかりその感じたことを学連の子達にフィードバックしてあげてください。
末筆で恐縮ではございますが、今大会派遣準備から大会期間中に至るまでのあらゆる面で本当に多くのサポートを頂いた、 Tahe Outdoors Japan 代表の内海さん、ジャパンカップ実行委員会ゼネラルプロデューサーの長島さん、 JWA 事務局の永田さんを初め、関わってくださった全ての方に厚く御礼を申し上げます。
2023/8/11
テクノ293 ジャパンカップ 実行委員会
2023年世界選手権派遣支援選手兼随行コーチ役
本田技研工業株式会社 小松 大悟